ライトノベル レビュー

読んでいて微笑ましくもむず痒くなる、正統派ラブコメ。

主人公は、単に人相が悪く周囲の噂などから「怖い人」のレッテルを貼られて距離を置かれている普通の高校生、鈴木正義くん。
魔法も超能力も超科学も出てこない、純粋にボーイ・ミーツ・ガールを描いた作品。

ヒロインは校倉ありす。正義くんとは同じ学校の同じクラスに通う、いわゆる天然さんである。
人と会話のテンポが噛みあわず、思考が空回りしてパニックに陥る癖があって、それをいつも友達に助けられている、そんな少女だ。

ありすさんが電車の中で痴漢に遭う所から話は始まる。その光景を目撃した正義くんは、見た目とは裏腹に本当に普通な少年。
内心凄くビビリながら、それでも自覚している怖い人相を使ってありすさんを助けることに成功する。
しかし、パニックになったありすさんは、思わず泣き出して正義くんに「大嫌い」と言ったあげく、逃げてしまう......。
正義くんは、そんな相手の対応にも「慣れているし」と諦めムード。
でもありすさんの方は、そんな自分の態度後悔して、謝って改めてお礼を言うチャンスを窺っているうちに、周りのイメージとは違う正義くんの姿に気がついていく。

そんなストーリーである。ここまでは言ってしまえば良くあるパターン。
主人公が凶相なために周囲から誤解を受けている、と言う設定のラブコメは「とらドラ!」や「れてぃ×ばと!」と言った有名どころを上げるまでも無いくらい。
しかし物語の肝は、自分を変えたい、と奮起するありすさんの頑張りの方にある。
素直で一途に、自分どころか正義くんや周囲の視線までも変えていく彼女の物語は、直球ながらもすっきりとした気分にさせてくれる。

レビュー:2011/7/4

カテゴリ:

ちょっぴり変な二人の、ほんのり淡い学園生活。

鈴木正義くん(16)は、本人の外見とある噂のせいで怖がられ、交友関係が残念レベルな少年。この間も、電車で助けたクラスメイトの女の子に泣かれちゃう始末でした。ところが、そこで泣いちゃった少女=校倉ありすさんは、その事件をきっかけに、正義くんの不思議に気がつき始めるのです――わかつきひかるのちょっぴり変なラブコメディ、お届けです。

novelauthor: わかつきひかる

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2011/6/1

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