ライトノベル レビュー

えっ、これで終わり?!と、読み終わってあとがきを読んで、まさしくその通りに叫んでしまった。
火炎と戦争を司る悪魔アイムと、それを使役する少年、遠野九罰の物語。その唐突過ぎる最終巻である。
前巻の引きから、次回予告の通り上屋敷イヴの家に仕える悪魔憑きメイド笹崎小波を狙って、エクソシストにして悪魔使いのディオニュシウスが襲来する。

悪魔憑きの彼女を治療する、と言って強引に連れ去ろうとするディオニュシウスに、九罰はそれが正しいのかと悩みながらも阻止しようと奮闘する──
と言うストーリーなのだが......。

正直、最終巻と言うには余りにも消化不良な内容であるのは明白である。
作者や編集部でいかなるやりとりがあったのかは定かではないが、あとがきにはっきりと打ち切りと書かれている。
打ち切りの決定が下ったのは、本作の原稿があらかた書き上がった後だったのだろうか。
強引に捻じ込まれたかのようなラスト数ページの描写からも、その唐突さが窺える気がする。
時間が有ればラストの戦闘シーンにしても、もっと九罰とアイムを活躍させるような展開になった筈だ。
放置されたままの複線も、全く明らかにされることなく終わってしまった。
何より重要な、物語の肝であるところのアイムと九罰の間で交わされたであろう契約の内容が謎のままだったのは非常にすわりが悪い。(......まさか最後の1行のあの文章が全て?)

個人的には好きなシリーズの一つだったのでこのような終わり方は非常に残念。
いつかシリーズが復活して、残る謎を明らかにしてくれる事を願ってやまない。

レビュー:2011/6/29

カテゴリ:

ソロモン72柱の悪魔を巡る、学園ゴシックストーリー、一大クライマックス!

『D』のエクソシスト、ディオニュシウスが襲来した。『悪魔使い』でもあり、『神の遣い』でもある彼の標的は、イヴのメイドで、悪魔憑きでもある笹崎小波だった。
『治療』と称して小波を連れ去ろうとする黒衣の医者ディオニュシウス。小波の意志を無視して及ぶその凶行に、九罰は反発する。一触即発の状況下、ついに黒医者に憑いた悪魔・ブエルがその本性を現し──!
 イヴの悪魔・騎士アンドラスすら凌駕するブエル。治療の悪魔と炎の悪魔、二人の悪魔使いの譲れない戦いが始まる──!

novelauthor: 折口良乃

4048705466

2011/6/10

Amazon.comで購入