ライトノベル レビュー

スーパーダッシュ文庫: 2011年5月 新刊

少女と移動図書館

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まだ見ぬ出会いを探し、本と少女が旅に出る……
人類の姿が消えた未来の地球で、巨大図書館に一人ぼっちで暮らす司書の少女。
いつか誰かが図書館にきて本を読んでくれる……そんな日を彼女はずっと待ち続けていた。
しかしある日、彼女は「来てくれないのならこっちから探しに行こう」と決めた。
大型の移動図書館車に本を大量に積み、まだ見ぬ人の姿を探して、広大な大陸へと旅立つ少女。
行く先々で、図書館では得られなかった体験を重ね、旅を、年月を重ねていく。
ツイッターに投稿された魅惑の小片集が文庫になってついに登場!!

少女の駆る移動図書館が荒野を行く。
土煙を上げ、砂煙を上げ、かつての道をひた走る。
廃墟には草木が芽生え、鳥は歌い、獣が踊る。
しかし本を読むべき人はいない。
まだ出会えない。もう出会えないかもしれない。
それでも『本』という文明の遺物は世界を駆け巡る。
人の想いを乗せて。

少女は移動図書館を水辺に停める。
瓦礫の合間にできた水たまり。
それでも草木は茂り、生き物が集う。
少女は書架の中からお気に入りの一冊を取り出すと、湖畔の草地に腰を下ろす。
そして水面に向かい朗読する。
歌うように、奏でるように。亡くさぬように、忘れぬように。
声を、言葉を。

お義母様は、女王様で、元婚約者で、年下の美少女!?
小国ラウナの王子・サミュエルは、
かつての戦争で敗れた母国のため、
女王の養子という名の人質となるべく大国ローレシアを訪れる。
はじめて義母に謁見するサミュエル。
だが、玉座に女王として座しているのは、
幼い頃、婚約者であった白銀の髪の少女・エリシアだった。
本来の女王である彼女の母はいったいどうしたのか。
疑問つきぬサミュエルにエリシアは言う。
「忠誠のあかしに足にキスすることを許す」と。
年下の義母と、死すべき定めの少年。
二人が織りなすロイヤル・ラブストーリー、開幕。

 そのとき、ザクッと音がした。
 エリシアが、焼けこげてしまったツインテールのひとふさを肩の上で切り落としたのだ。
 エリシアが右手に持っている短剣は、柄に宝石をちりばめた豪華なものだ。正装のとき、腰にさげる儀礼用の剣だが、みためだけではなく切れ味も良いらしい。
 エリシアは、ツインテールのひとふさを投げ出した。
 銀髪がきらめきながら、ぱらぱらと落ちていく。
「静まれ」
 エリシアの声は謁見の間に凛と響く。
「エリシア様。お言葉ですが、お命を落とすところだったのですぞ!」
 武官長が言った。
「暗殺未遂事件など、起こっていない。いいな?」
「女王陛下暗殺未遂は、きちんと裁かれなくてはなりません。事件は起こってないとおっしゃっておられますが、お髪がそのように痛ましいことになっているではありませんか」
 エリシアは、もう片方の髪を、ぶつりと切った。
 そして髪を放り投げた。
「髪ぐらい、いくらでもくれてやるわ」

本人の許可を得て『密着』取材しております。
ほうそうぶ(放送部兼放課後捜査倶楽部)に入部し、真の名探偵となるべく、イイ女なパートナー探しとスキルアップに励む皇沙門。ある日、美貌の生徒会長、星群舞花が何者かにいやがらせを受けていることがわかり、密着取材と称して沙門が護衛をすることに。護衛初日、沙門は副会長を勤める金髪の美少女、石衣火弓に出逢うが、なぜか火弓は沙門を嫌い、非協力的。それでも沙門は、ある人物を犯人と定めるが......!? 事件の鍵を握るみたらし団子クリームソーダが爆発するとき、名探偵は覚醒する! 新感覚ラブコメ第二幕、さん、にー、いち、キュー!

「アイラブユー」
「...................................................................................................?」
 だが、残念なことに俺の意志は伝わらなかったらしい。
 少女の表情は、なんだか苦虫をかみつぶしたような、微妙なものになっていた。
 とはいえ、俺のボキャブラリーではこれ以上は何も言うことがない。
 あとは、強い意志を込めた目で訴えるしかあるまい。
 俺は少女の目をまっすぐに見つめた。
 届け、この想い。
「........................う」
 しばらく視線を交錯させていると、少女がなにやらつぶやいた。
 なんだ? よく聞き取れなかったな。
 俺は少しだけ体を少女の方へ近づける。
「ぶっ殺されたいのですか、このゲス野郎」
「......」
 おや。おかしい。
 何やら少女の容姿には相応しくない言葉に聞こえたのだが、空耳だろうか。
「......聞こえなかったのでしょうか。アタシはあなたにぶっ殺されたいのですか、このゲス野郎、と尋ねたのですが。それとも言葉を理解する脳みそを持っていないのですか」
 ......どうやら聞き間違いではなかったらしい。

全お嬢様集結!
最大の『ばーさす』開始!!
神菜との勝負が日常となっている水樹たちZ組。だがその申し込まれる勝負の回数は明らかに増えていた。神菜が何か焦っていると感じる水樹だが、その真意がわからずに困惑する。一方神菜は、自分の思いが水樹に伝わらず、いらいらしていた。彼女はその思いを成就すべく、ついに絶対権力の象徴である生徒会長兼理事長の座を懸けてのガチバトルを宣言。勝負には水樹たちのみならず全お嬢様も集結し、いつしか最大のばーさすへと発展していく! まったり学園ギャグコメディ最高潮!

「......あっ?」
「えっ?」

 神菜の焦った声に、水樹は驚いて振り返った。
 どこかで力加減を間違えたのだろうか。彼女は跳び上がる寸前、足をひねっていた。
 そのままバランスを崩し、十分に踏み切ることができず、姿勢もそのまま頭から水樹の方にもつれこんでいく。
 そして。
「「うわあああああああああああっ?」」
 観衆から、絶叫が上がった。全員が全員そんなつもりはなかったのに、そろえて悲鳴に近い声を上げてしまったのだ。
 状況に思考がついていけなかったせいもある。
 彼らの目の前で。水樹と神菜の顔は重なっていた。
 具体的に言うと、唇同士が。
「「~~~~~~~っ?」」
 二人は慌てて離れると、互いの顔を凝視する。頭の中が真っ白になりそうだった。

六畳一間で暮らしたあの日を振り返るアットホームドタバタラブコメ第七弾!
莱香が池袋に引っ越して来て騒がしくなった小鳥遊家。
合唱部の副部長に抜擢された空の報告に祐太たちはお祝いを企画する。
ロ研の仲間達もやってきて楽しい時間に、それぞれの心に去来する想い。
両親の事故から、まだ一年も経っていないなんて信じられない。
祐太に手を引かれて八王子の六畳一間にたどり着いたあの日から、池袋に再び戻る日までに起こった様々な出来事が回想される。
三姉妹と祐太が、そしてロ研の仲間達が今のような関係を築くまでの空白の時間。
そこには、誰にいわずともやっぱりあたたかな優しい物語が積み重ねられていた。
大人気癒し系ドタバタアットホームラブコメ第七弾!

 照れくさいけど、祐太の気持ちは嬉しい。それに裕太はいつでも空たちのために一生懸命だ。そんな態度をいつも自然にしてくれる祐太に空はすごく感謝している。
 空たちの両親のお葬式があった半年前。あの頃から祐太は空たちとの暮らしを守るために、色々と頑張ってくれていた。意外な程の行動力は、あの頃から変わらないな。そんなことを思いだして、空は胸の奥が温かくなる。そして思わず呟いた。
「もう気が付いたらずいぶん経ったちゃったね、美羽......」
「そういやそうだね。......えっと、夏休みの終わり頃にあんなことがあったから......本当だ、ぴったり半年」
「あっという間だったなぁ」
 空がぽつりと呟くと、隣に座っていた美羽も小さく頷く。