ライトノベル レビュー

少女と移動図書館

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まだ見ぬ出会いを探し、本と少女が旅に出る……
人類の姿が消えた未来の地球で、巨大図書館に一人ぼっちで暮らす司書の少女。
いつか誰かが図書館にきて本を読んでくれる……そんな日を彼女はずっと待ち続けていた。
しかしある日、彼女は「来てくれないのならこっちから探しに行こう」と決めた。
大型の移動図書館車に本を大量に積み、まだ見ぬ人の姿を探して、広大な大陸へと旅立つ少女。
行く先々で、図書館では得られなかった体験を重ね、旅を、年月を重ねていく。
ツイッターに投稿された魅惑の小片集が文庫になってついに登場!!

少女の駆る移動図書館が荒野を行く。
土煙を上げ、砂煙を上げ、かつての道をひた走る。
廃墟には草木が芽生え、鳥は歌い、獣が踊る。
しかし本を読むべき人はいない。
まだ出会えない。もう出会えないかもしれない。
それでも『本』という文明の遺物は世界を駆け巡る。
人の想いを乗せて。

少女は移動図書館を水辺に停める。
瓦礫の合間にできた水たまり。
それでも草木は茂り、生き物が集う。
少女は書架の中からお気に入りの一冊を取り出すと、湖畔の草地に腰を下ろす。
そして水面に向かい朗読する。
歌うように、奏でるように。亡くさぬように、忘れぬように。
声を、言葉を。

novelauthor: 竹雀綾人

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2011/5/25

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