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お義母様は、女王様で、元婚約者で、年下の美少女!?
小国ラウナの王子・サミュエルは、
かつての戦争で敗れた母国のため、
女王の養子という名の人質となるべく大国ローレシアを訪れる。
はじめて義母に謁見するサミュエル。
だが、玉座に女王として座しているのは、
幼い頃、婚約者であった白銀の髪の少女・エリシアだった。
本来の女王である彼女の母はいったいどうしたのか。
疑問つきぬサミュエルにエリシアは言う。
「忠誠のあかしに足にキスすることを許す」と。
年下の義母と、死すべき定めの少年。
二人が織りなすロイヤル・ラブストーリー、開幕。
そのとき、ザクッと音がした。
エリシアが、焼けこげてしまったツインテールのひとふさを肩の上で切り落としたのだ。
エリシアが右手に持っている短剣は、柄に宝石をちりばめた豪華なものだ。正装のとき、腰にさげる儀礼用の剣だが、みためだけではなく切れ味も良いらしい。
エリシアは、ツインテールのひとふさを投げ出した。
銀髪がきらめきながら、ぱらぱらと落ちていく。
「静まれ」
エリシアの声は謁見の間に凛と響く。
「エリシア様。お言葉ですが、お命を落とすところだったのですぞ!」
武官長が言った。
「暗殺未遂事件など、起こっていない。いいな?」
「女王陛下暗殺未遂は、きちんと裁かれなくてはなりません。事件は起こってないとおっしゃっておられますが、お髪がそのように痛ましいことになっているではありませんか」
エリシアは、もう片方の髪を、ぶつりと切った。
そして髪を放り投げた。
「髪ぐらい、いくらでもくれてやるわ」
novelauthor: わかつきひかる
4086306158
2011/5/25