ライトノベル レビュー

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嘘つき少女と、臆病な少年、そして幼かった悪魔。
切ない想いは最高のクライマックスへ!
衝撃の一夜があけてギクシャクする真尋だが、可憐はいつもどおり!?
そんな中で楽しい夏休みが始まり、真尋たちはキャンプ場でバーベキューに露天風呂にと大はしゃぎ♪
だが、とんでもないハプニングが降りかかる! 彼らの窮地に現れた天使様の正体とは?
そしてその夜、二人きりになった真尋と可憐はついに!?
人間と悪魔と天使の恋物語、感動のクライマックスです!!!

 俺は何度も口を開けて閉ざし、歯を食いしばる。握り込んだ拳が震えた。
 怖い。言葉を吐き出すことが、想いを伝えることが、怖い。
 可憐の両手が俺の頬を挟み込む。あいかわらずヒンヤリとした、病人の冷たい手だった。
「可憐、俺は……」
 微笑みながら、泣きながら、可憐は何度もうなずく。ゆっくりと言葉を紡ぎながら。
「うん……、うん……、大丈夫、言って……。……お願い……真尋の言葉を聞かせて……」
 そうして俺は、彼女が望まなかった世界へと続く、別れの言葉 を切り出した。
「おまえが、……好きだ……」
 どうしようもなく悲しい言葉に、俺の頬を挟んでいた可憐の両手が、静かに下ろされる。吐き出された言葉を戻す術はない。だから苦手なんだ、言葉ってやつは。
「八千草可憐を好きになっちまった。……この先ずっと孤独になってもいい。五年間だけでもかまわない。おまえと、生きたいって……思っちまったんだ……」
 レムがくれた勇気は、この言葉を可憐に伝えるためのもの――。
 可憐がいくつも涙をこぼしながら、嬉しそうに、悲しい笑みを浮かべた。
「ありがとう……真尋……。わたしも……愛してる……。ずっと、ずっと前から、キミのことが……好きだったんだよ……」

novelauthor: 赤井紅介

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2011/3/25

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